日常生活の練習
日常生活の練習では、自分の意志どおりに動く手や身体をつくることを最大の目的としています。具体的活動として、「注ぐ」「はさみで切る」「のりで貼る」「紙を折る」「あけ移し」「縫う」「食器を洗う」などがあり、子どもたちが日々を過ごすなかで、自然と興味を持つものです。これらの活動を行うなかで、手や身体をたくさん使い、協調的な動きを獲得し、より動きをなめらかにします。

感覚教育
感覚器官は乳幼児期に最も発達します。色や大きさ、手触り、音、味覚のわずかな違いなど、五感を敏感に働かせ、自分を取り巻く環境を正確に知ることができるようになると、子どもたちは、環境に適応した行動ができるようになります。
子どもたちは五感それぞれを個別に働かせる教具を用いることで、混沌と内在している感覚を、ひとつひとつ整理・分類し、洗練させていきます。ここで培った豊かな感覚体験は、物事を観察して気づく力や考える力につながり、言語や数などの知的活動の基礎となります。

数教育
子どもたちは、数教育に取り組む以前に、日々の生活のなかですでに数量に関する体験をたくさんしています。モンテッソーリ教育における数教育では、そこで得た体験や知識を整理し、体系的に学ぶことができるようになっています。抽象概念である「数」を、子どもたちにも親しみやすい、棒やビーズなどの具体物で表現し、「数量・数詞・数字」の三者関係、十進法の概念、四則演算を理解していきます。実際に具体物を扱いながら、数の概念を獲得することで、単なる知識や操作にとどまらず、抽象的に考える力や、論理的に物事を考える力の礎となります。

言語教育
言語教育には、「話す」・「書く」・「読む」・「文法」の要素があります。子どもは生まれながらに言語を獲得する能力を備えていますが、その周りには適切な環境が必要です。語彙を拡充する活動から始まり、「日常生活の練習」や「感覚教育」で養った、指先や手首を使って鉛筆を持ったり、文字を書いたりすることができるように、系統だった教具、教材、活動が用意されています。

文化教育
日常生活の練習、感覚・数・言語教育の活動に取り組み、運動機能や感覚が獲得・洗練され、論理的・抽象的思考を備えてきた子どもたちは、身のまわりの現象に興味を広げていきます。「なぜだろう?」「どうしてだろう?」「もっと知りたい!」、そのような知的好奇心が満たされるまでのプロセスを大切に、活動を展開します。
葉の形を分類したり、動物の身体の部位について調べまとめたり、さらには、抽象的な事柄を理解できるようになると、世界の地形・大陸や国などにも興味を持ちはじめます。世の中の様々な事柄に関心を抱き、知識を蓄えていくと、広い視野で物事を捉え、考えることができるようになっていきます。
